2006/05/13

障害者、その家族の同意、任意は強制と等しい

 高知市は障害者自立支援法の申請手続きに際し、私名義の通帳のコピーを本人の同意を得ることなく妻に提出させ、それを利用しました。私は高知市相手にプライバシー権を侵害され精神的苦痛を受けたとして高知簡易裁判所に、慰謝料の請求を申し立てました。私生活に関する情報をみだりに収集、管理されない自由(憲法13条)を侵害されたと主張しました。
 同意、任意という概念は対等な立場にある人間の間に結ばれる契約で用いられる概念です。圧倒的な強者である行政と弱者である障害者、障害者家族の間で結ばれる同意、任意は事実上の強制にしか過ぎません。個人情報保護法では、行政の恣意的な個人情報の収集、利用、管理を厳重に抑制したにもかかわらず、行政の現場では個人情報が安易に収集、利用、管理されています。
 障害者自立支援法の施行を機会に、行政は病院から社会に移される障害者の個人情報を守秘義務のある病院の管理から外される機会を利用して、収集、利用、管理しようとしている気がします。行政はこの機会を捉え、膨大なデーターベースを作成しようとしています。
 障害者自立支援法の障害者が自立して生きることを支援する法の趣旨には賛成できるのですが、この機会を利用して障害者管理を促進しようとする行政の動きには、かつての病院の管理体制を目に見えない形で再構築しようとする行政側の意図が見え隠れします